100%源泉かけ流し
それが当たり前の土地、別府。
日本有数の源泉数と豊富な湧出量で、古くから多くの人々が温泉を求めこの地へやってきます。
別府には、浜脇温泉・別府温泉・亀川温泉・鉄輪温泉・観海寺温泉・堀田温泉・柴石温泉・明礬温泉の計8つの代表的な温泉地があり「別府八湯」と呼ばれています。
それぞれに歴史や特色があり、温泉地ごとに違う温泉を楽しめるのも別府の特徴。同じエリアであっても泉質が異なることもあり、バラエティ豊かな温泉めぐりが可能です。
地元の人でも、実は温泉について知らないことが多いのです。
温泉の秘密を知れば、もっともっと温泉愛が深まり、
別府の旅がさらにおもしろくなるはず。
さあ一緒に、
温泉について学ぶ旅へと
出発しましょう。
- LESSON 01 -
そもそも温泉ってなんだろう?
日本の温泉は「温泉法」という法律で定められています。
- 【温泉の定義】
- (01)地中から湧き出る水、水蒸気、その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)
- (02)上記のうち摂氏25℃以上、もしくは19項目の物質のいずれか1つを規定量以上含むもの
25℃以下でも温泉はあるし、成分が複数入ったものから少量のものまで、実にたくさんの種類の温泉が存在しています。
- LESSON 02 -
別府にはなぜこんなにも温泉があるの?
別府の温泉の秘密は火山と断層にあり
別府から九重、阿蘇、島原半島までの地帯は、地球内部の岩石が流動するマントル対流が活発です。
その東端に位置しているのが別府。別府の土地は南北方向に引っ張る力が働いて内側が沈下し、それによって凹んだ土地に土砂がたまっている扇状地です。別府の扇状地の境界となる南北の端には断層があり、外側が隆起、内側が沈降という断層活動が続いています。
断層に沿う土地は断層運動によって粉々になっており、地下水や温泉水、蒸気が流動しやすくなっています。そして南北端ふたつの断層は、鶴見火山群の地下深くに存在する熱水の経路となっているのです。これらの理由もあり、別府の断層沿いには多くの温泉が点在しています。
- LESSON 03 -
なぜ別府の温泉は「地獄」なの?
その昔、噴気・熱泥・熱湯が吹き出す地熱地帯は、手が付けられず近づけない土地でした。そんな忌み嫌われた土地が「地獄」と呼ばれたのです。人間にはコントロールできない、やっかいな場所という意味が込められていたのでしょう。
地熱や温泉は昔から人々の生活で欠かせないものでした。当時盛んだった畳表を作る際の蒸す工程で利用したり、硫黄を採取したり、料理に使用したり、蒸し風呂に利用したりしていたのです。
その一方で、田畑の中に熱湯や蒸気が噴出し使えなくなってしまったり、溜池などに温泉が流れ込み田畑に影響があったり、地すべりが起こったり、厄災を及ぼすこともあったのです。地熱や温泉は恵みも与えてくれるが厄災も及ぼす、そんな存在でした。
- LESSON 04 -
一遍上人と鉄輪温泉の物語
多くの地獄が集中している、鉄輪エリア。あちこちから湯けむりが立ち上ります。今でこそ整備され、情緒あふれる温泉街として人々が集いますが、その昔は激しい噴気や熱湯に、人々は手を焼いていました。そこに現れ地獄を静めたと言われるのが一遍上人です。
旅の途中、別府で濃霧に遭遇した一遍上人。「鶴見岳の山霧と鉄輪地獄の湯煙で難儀している民衆がいるので祈れ」と、老人に告げられたため断食祈願をします。すると今度は「経文を一字ずつ石に記し、名称を唱えながら投げ込めば地獄を埋めることができる」との教えがありました。
一遍上人は様々なお寺や僧、民衆たちの協力を受けてお告げを実行し、ほとんどの地獄を静めることができました。ただ、最後に噴気の止まらない区域があります。再び祈ると「この噴気は止めなくてよい。蒸し風呂を築けば、いかなる難病も治るだろう」と告げられ、鉄輪の開湯に成功したと伝えられています。
- LESSON 05 -
豊富な泉質をもつ別府の温泉
日本有数の源泉数と豊富な湧出量を誇る温泉のまち、別府。その泉質もバラエティ豊かです。
温泉の泉質は全部で10種類に分けられていますが、そのうちの7種類が別府に存在しています。各泉質には「適応症」があります。これは、温泉療養を行うことで効果をあらわす症状のことです。適応症を確認すれば、目的に応じた温泉を選ぶことができますね。
ほかにも、温泉の色や透明度、肌触りや香り、湯上がりの感触など、湯によって千差万別。好みの湯はどんな泉質なのか、チェックしてみるのも、温泉の楽しみ方のひとつです。「機能温泉浴」という湯めぐりができるのも、別府ならでは。異なる2つの泉質の湯に浸かる入浴法です。美肌や代謝アップなど、目的別に計画を立ててみましょう。
- LESSON 06 -
別府市は温泉をまじめに研究しています
湯のまち別府では、温泉について様々な角度から、まじめな研究を重ねています。
別府市では温泉の魅力を検証し、資源を守りながら新たな温泉の可能性を全世界に発信するシンポジウム「別府ONSENアカデミア」を毎年開催。さまざまなテーマを設け、科学的見地から温泉の効果効能などを調査しています。これからの展開に乞うご期待!
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地獄蒸し
JIGOKUMUSHI
食材を自然の蒸気で蒸した料理。蒸す釜の蒸気の成分によっても味が変わるといいます。素材本来の旨みがギュっと凝縮され、しかもヘルシー。アイデア次第で無限にメニューが作れるとあって、大人気です。
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足湯
ASHIYU
ちょっとした空き時間にでも、気軽に楽しめるのが足湯です。足を温泉に浸けるだけ…とあなどるなかれ。ほんの数分でも全身がぽかぽかし、温泉の偉大さを実感できます。みかけたらぜひ立ち寄ってみましょう。
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むし湯
MUSHIYU
温泉の蒸気で熱せられた空間に入る、ミストサウナのようなもの。現在のように入浴する習慣のなかった昔の人々は、入浴といえば「蒸し湯」がスタンダードだったと言われています。
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足蒸し
ASHIMUSHI
蒸し湯の足だけバージョン。こちらも足だけなのに全身があたたまり、体の芯からぽかぽかします。時間がなくて蒸し湯を体験できない場合は、足蒸しだけでも楽しんでみてください。
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岩盤浴
GANBANYOKU
あまり多くはありませんが、岩盤浴が楽しめるスポットもあります。石に寝そべるだけで、じわじわとあたたまり、汗が吹き出します。
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他にも
OTHER
他にも許可を得た温泉のみ可能な飲泉や、蒸気を顔に浴びたり吸い込んだりする吸泉など。直接体に取り込むだけでなく、染め物に利用する温泉染めの体験も可能です。
あなた自身が
温泉に変わる50年を
追体験。
別府観光の定番といえば「べっぷ地獄めぐり」。海地獄や白池地獄、鬼石坊主地獄、かまど地獄、鬼山地獄の5つは歩いて周れるほどの距離です。そんな地獄密集地に、かつては「金龍地獄」と呼ばれた地獄があります。勢いよく湯けむりが吹き上がるその跡地に建つのが「地獄温泉ミュージアム」です。
“50年前の雨水が、
どうやって温泉になるのか?”
光と映像、その他さまざまな仕掛けによって、別府の温泉になるまでを追体験しながら楽しく学べるエンターテイメント施設。
まるで自分が水になったように感じられるプロジェクションマッピングや、迷路のようにさ迷いながら進むスタンプラリーなど。自らが一粒の水となって、温泉の軌跡をたどります。幻想的な空間に映し出される映像や仕掛けに、大人も子どもも時を忘れて楽しめること間違いなしです。
すべての体験を終える頃には、自然に温泉の知識が深まっています。自然の偉大な恵みに感謝する心、人々が受け継いできた温泉文化への尊敬、そして温泉に対する愛おしさがふくらんで、より楽しい温泉旅・地獄観光へとつながるでしょう。
- 地獄温泉ミュージアム
- 雨水が温泉水として生成されるまでの地中の旅を追体験し自然の恵みと人々の営みの循環を学び、楽しむ、アカデミック・エンターテイメント施設。
別府で湯めぐりを楽しんで
2,800を超える源泉がある、ゆのまち別府。
その一つひとつが、かけがえのない自然の恵みです。温泉について学んだ後は、ゆったりと湯に浸かり癒やされましょう。