BAMBOOCRAFTS
丁寧な手しごとと出会う別府竹細工
芸術品から暮らしの道具まで
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竹細工が根付く温泉のまち別府。
温泉のまちとして知られる別府は、温泉とともに育まれた伝統工芸が根付いているまちでもあります。
「別府竹細工」は、国の「伝統的工芸品」にも指定されており、その歴史は古く、大和時代まで遡ると言われています。別府の湯治客とともに発展していった別府竹細工。
毎日の暮らしに根付くものから、 空間を彩る芸術品まで様々な形で、 わたしたちを魅了してくれます。
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CONTENTS
目次
-
01
伝統工芸品
別府竹細工とは?- 別府竹細工とは?
- 竹と別府の深いつながり
- 造形性を高めた芸術品としての竹
- 暮らしに根付く竹細工
-
02
世界からも注目を浴びる
別府竹細工職人- 唯一無二の作風が国内外で評価される名工「油布 昌伯氏」
- 幅広い作品で人々を魅了 海外でも活躍中「清水 貴之氏」
- 竹アクセサリーが大人気「cotake」店主「さとう みきこ氏」
- 伝統的な竹細工をファッショナブルに展開「一木 律子氏」
- ー世界中で評価を受ける別府竹細工
-
03
ぶらりまち歩きで、
別府竹細工に出合う- 別府市竹細工伝統産業会館
- ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ
- 界 別府 | 星野リゾート
-
04
お土産にもぴったり
- 別府市竹細工伝統産業会館
- 竹工芸山正
- SELECT BEPPU
- SPICA
- cotake
- ICHIZA
伝統工芸品別府竹細工とは?
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1979(昭和54)年、伝統的工芸品の指定を受けた別府竹細工。大分県は日本一のマダケの産地でもあります。良質の竹に恵まれた別府で、どのように竹工芸が発展したのでしょうか。その歴史を紐解いてみましょう。
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HISTORY
竹と別府の深いつながり
1世紀からはじまる、
竹細工の歴史
別府竹細工の起源は、1世紀頃まで遡るとも言われます。景行天皇が九州熊そを征伐した帰り、別府へと立ち寄りました。その従者が良質な竹を大量に発見し、茶碗カゴ(メカゴ)を作ったことが始まりと伝えられています。
室町時代に入ると、木で椀や盆を作る職人たちが竹の塩カゴを発案。行商用のカゴが生産・販売されたといわれています。
*行景天皇:『古事記』『日本書紀』で第12代天皇と伝えられる人物で、ヤマトタケルノミコトの父
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江戸時代、日本有数の温泉地としてその名が知られるようになった別府。滞在中、湯治客は、竹製のカゴやざるなどを使用しました。そして全国各地に持ち帰ったため、お土産品として竹細工が定着し、別府の産業として発展を遂げたのです。
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ART
WORKS
造形性を高めた芸術品としての竹
POINT01
全国でも珍しい竹を学ぶ学校
暮らしの道具として親しまれてきた別府竹細工は、工芸品としても発展してきました。その発展を支えてきたのが、学校の存在です。明治35年に竹藍科を備えた徒弟学校が設置され、現在でも、別府には全国で唯一、公立の竹工芸専門の訓練施設(大分県立竹工芸訓練センター)があり、多くの卒業生を輩出しています。
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POINT02
伝統的工芸品として認められた別府竹細工
国の伝統的工芸品に指定された別府竹細工の技法は8つの基本的な編み方によるものです。これらの組み合わせで200種類以上の編み方が可能です。
特徴的な編み方の種類
今では、巨匠から新進気鋭の職人まで、多くの竹工芸作家がおり、素晴らしい作品が日々生み出されています。別府市役所やフェリー さんふらわあ くれない船内、スターバックス コーヒー 別府公園店など、アートな竹作品に出合える場所がいっぱいです。
-
別府市役所BEPPU CITY HALL
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さんふらわあ
くれない船内SUNFLOWER KURENAI -
スターバックス コーヒー
別府公園店STARBUCKS COFFEE
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DAILY
USE ITEMS
暮らしに根付く竹細工
生活用品として
機能的にも優れた竹
別府に住む人々、そして湯治客たちに欠かすことのできなかった竹製品。飯カゴや弁当箱、盛カゴなど生活用品として親しまれてきました。
一見すると華奢に見えますが、しっかり編み込まれているため意外と丈夫で弾力性があり、軽くて持ち運びも楽々。生活で使う道具として、とても優れているんです。
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ファッショナブルな
アイテムへと変化する竹
時代の流れによって、日々の生活用品としては珍しくなってしまった竹製品。それに変わるかのように、現代では工芸作家たちの手によって新たな竹細工製品が誕生しています。
涼しげなおしゃれを演出するカゴバッグ、軽やかに揺れる竹のアクセサリーなど、気軽に取り入れられるファンションアイテムとして人気です。
世界からも注目を浴びる別府竹細工職人
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唯一無二の作風が
国内外で
評価される名工
油布 昌伯 氏SHOUHAKU YUFU
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長年の経験と
独自の感性による
大胆で繊細な作品。
熱烈なファンを持ち、世界的に高く評価されている現代の名工「油布 昌伯氏」。日本の著名なバンブーアーティストの一人で、その活動期間は60 年近くになります。大分県産の真竹を使用し、大胆で繊細な独創性の高い作品を作り続けています。
INTERVIEW
不動像が妙な顔で立ってるんだよ。
そこで『これを籠にできんか?』って思ったんだよ
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幼少の頃から父・竹龍氏を手伝い、学校から帰ると竹を割るのが仕事でした。高校卒業後に竹職人となりしばらく安定していたものの、オイルショックの後、別府の竹細工の生産は窮地に立たされました。竹の仕事がなく、4年ほど造園業を手伝った後、竹工芸の世界へ復帰。
「ある日、別府の修験道場で滝をぼーっと眺めていてね。風が吹いてね、不動像が妙な顔で立ってるんだよ。そこで『これを籠にできんか?』って思ったんだよ」と、油布先生。その体験が今の作風のルーツとなりました。現在も主に海外からのオーダーを受け、作品を作り続けています。
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幅広い作品で
人々を魅了
海外でも活躍中
清水 貴之 氏SHIMIZU TAKAYUKI
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日本国内にとどまらず
パリやニューヨーク、
多方面で活躍中。
オーダーメイドを中心に竹細工を創作、別府竹細工東京教室の代表もしています。竹細工の販売や展示、ワークショップの開催など海外でも活躍中です。
INTERVIEW
竹に選んでもらったという感覚があります。
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大阪生まれ、別府市在住。大学卒業後に別府へ移住、大分県立竹工芸訓練支援センターに入学しました。
「竹に選んでもらったという感覚があります。訓練校に入るまで竹に触れたことすらなかったけれど、やってみたら楽しくて。竹の業界自体が下り坂だったこともあり、生活が困窮して苦しい時期もありましたが、辞めようと思ったことは一度もありません。ゆっくり竹細工を作り、温泉に入り釣りをする別府の生活は大好きです。一方、世界中からメールが来て、知らない土地で展示やワークショップを行うのも楽しいですよ」。清水さんの活動は今後も幅を広げていきそうです。
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竹アクセサリーが
大人気
「cotake」店主
さとう みきこ 氏SATO MIKIKO
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雲や木、
花など自然から、
アイデアを得て作品へ。
繊細でしなやかな竹細工のアクセサリーを作る、さとうみきこさん。雲や木、花など自然からアイデアを得て形にしています。自身の作品や作家の竹細工を販売するショップ兼工房「cotake」を2017年にオープン。
INTERVIEW
別府や大分の人が抱く竹のイメージを変えたくて、
アクセサリーを作るようになりました。
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友人と訪れた「別府市竹細工伝統産業会館」で竹工芸の美しさに感動し、竹細工作家の道を歩み始めました。
「周囲の人は竹はおじさんがやるもの、伝統工芸という印象が強く、私自身も同じようなイメージを持っていた時期がありました。だからこそ、別府や大分の人が抱く竹のイメージを変えたくて、アクセサリーを作るようになりました。竹材の確保に不安はありますが、作品を今のように制作し続けていけたらなと思っています」と、さとうさんは語ります。
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伝統的な竹細工を
ファッショナブルに
展開
一木 律子 氏ICHIKI RITSUKO
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繊細で美しい、
暮らしを彩る
別府竹細工の日用品
白竹を使い、暮らしに密着した竹細工を作る一木さん。オーダーを受けての制作や、展示会などのテーマに沿った制作のほか、公募展にも応募し作品づくりを行っています。
INTERVIEW
巨匠の作品を見ると
『竹でこんな表現ができるんだ!』と驚いたり憧れたり。
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大分市から別府へ引っ越し、はじめて別府竹細工に触れ、訓練校に入学しました。現在はstudio
竹楓舎で大谷健一先生の制作に参加したり、個人で活動している「福籠」で作品を制作したり、大分市アートプラザ「竹工芸教室」の講師を努めたりと多忙な日々を送っています。
「竹は知るほどに勉強になります。巨匠の作品を見ると『竹でこんな表現ができるんだ!』と驚いたり憧れたり。基礎ができていないと、崩せないし、遊べないのが竹です」と話す一木さん。伝統工芸士にも認定され、別府竹細工を守るための活動もより進みそうです。
ぶらりまち歩きで、
別府竹細工に出合う
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別府竹細工散策マップ
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使うほどに味わいが増す竹細工は、
お土産にもぴったり
お気に入りを
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見つけよう!