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温泉で健康になれるまち別府で免疫力日本一宣言

別府ONSENアカデミア2022
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2022年11月、別府市のビーコンプラザで「別府ONSENアカデミア2022」が開催されました。「別府ONSENアカデミア」とは、温泉の様々な魅力を検証し、大切な資源である温泉を守りながら、新たな温泉の可能性を全国、そして世界に向けて発信する温泉のシンポジウム。2016年から毎年開催されていましたが、コロナ禍となり、ゲストや観客を招いて行われたのは3年ぶりです。

久しぶりのリアル開催となった
2022年の「別府ONSENアカデミア」では
今後の温泉との関わり方を変えてしまうかもしれない 画期的な発表が行われました

別府の温泉が体にいいことを実験で実証。

これまでも「温泉は体にいい」と思われてきました。温泉を癒やしと捉えている方も多いと思います。「疲れたから温泉にでも行くか」なんてと思ったこと、誰にでも一度や二度はありますよね。でも、「温泉が本当に体にいいのか」というデータに基づいた検証って難しかったんです。なぜならこれと言った検証方法がなかったから。ただ最近になって、人間の体についてすごく細かいところまで「健康にいいか悪いか」を調べられるようになりました。

九州大学都市研究センター センター長
馬奈木 俊介氏

免疫力と腸の関係

免疫力とは、細菌やウイルスなどから体を守り、病気に感染することなく健康で快適に過ごせる力を意味します。腸には、体内に侵入した細菌やウイルスなどを攻撃する免疫細胞が多くあり、免疫力を高めるためには、腸の状態を良くすることが重要となります。
また、腸内細菌は神経伝達物質の生成にもかかわっており、腸内細菌はメンタルにも影響するとされています。このように免疫力に関わる「腸内細菌」は、人間の腸の中に多数存在しており、様々な種類の腸内細菌がグループごとにまとまっている「腸内細菌叢(そう)」の状況を分析し、疾病リスクなどの分析・評価が可能となります。

参加者
140名別府市内外の、普段は温泉に入っていない基礎疾患のない人
検証方法
別府には10種類ある掲示用の泉質のうち7種類の泉質が確認されています。今回はそのうち5種類の泉質(塩化物泉・単純温泉・炭酸水素塩泉・硫黄泉・硫酸塩泉)で実験。別府市内の旅館やホテルに滞在しながら、1日につき20分前後、7日連続で同じ温泉に入り続けてもらいました。そして入る前と、7日間連続で入った後の便を採取し、腸内細菌そうの変化を調べました。
SYMPOSIUM
REPORT 01

注目したのは、
腸内細菌。

人の腸内細菌が検査できるキットを使って腸内細菌叢のゲノム解析遺伝子情報の解明をし、温泉に入ることで腸内細菌叢に影響があるのか、さらに病気になるリスクにも影響を及ぼすのかを調べました。すると別府の温泉に入ることで、病気になるリスクや腸内細菌叢に変化が起こることが証明されたんです。
この結果から、温泉は「なんとなく体にいい」から、「体にとって良い影響と効果がある」ことが判明。しかも、どの泉質の温泉に入るとどの病気のリスクが軽減されるのか、ということまで分かりました。

温泉に入ると、
男性が痛風になるリスクが減る? 

今回の実験ではっきり分かったことのひとつが、泉質によってはもちろん、男女でも受ける影響が違うということ。

病気になるリスクの変化の中でも統計学的に優位な結果として、単純温泉に男性が入浴すると「過敏性腸症候群」のリスクが減少することが分かりました。
さらに50歳未満の男性では、5つの泉質の温泉のどれかに入浴することで「痛風」のリスクが減少することも判明。男性は、炭酸水素塩泉に入ることで腸内細菌のビフィズス菌が増え、前立腺がんのリスクが減少する可能性がありそうだということも分かったんです。

男性が単純温泉に入ると過敏性腸症候群と痛風の疾病リスクが減少することが統計的にわかった。

女性は、炭酸水素塩泉で大腸がん、狭心症、うつ病などのリスクが軽減。単純温泉で肥満やアトピー性皮膚炎、塩化物泉でⅡ型糖尿病や不整脈の改善・緩和に良い効果のある腸内細菌が増えたことが分かりました。
このように「どの温泉がどんな効果をもたらすのか」が証明されたんです。もっともっと細かなデータもたくさん出ているので、興味のある方はこちらも研究発表資料をご覧ください。

泉質別男女別で疾病リスクが下がった疾病
温泉に入った男性のデータ。過敏性腸症候群や痛風のリスクが減少し、高血圧や前立腺の改善や緩和の可能性がうかがえる統計データが得られた 一方、温泉に入った女性からは大腸癌、狭心症、うつ病などのリスクが軽減し、過敏性腸症候群や大腸癌の改善や緩和に繋がる腸内細菌が増えるという統計データが得られた
※赤字は平均変化量が10%以上減少したもの。「硫酸塩泉」についてはデータ数の関係によりここでは省略しています。
SYMPOSIUM
REPORT 02

毎日入り続けなくても、
旅行で十分に効果アリ

今回の実証実験には、「普段は温泉に入っていない健康な人」で、大分県内の方だけでなく、関東や福岡県の方もワーケーションを活用して参加してくださいました。日常的に温泉に入らなくても「特定の病気になるリスクが減る」とか、「体にいい影響を及ぼす腸内細菌が増えた」ということがわかりました。旅行で数日滞在するだけでも、健康になれるということです。

今回は検証のための実験として行われたので、「7日間連続」という十分な日程を取りました。ただ、7日間と同じ結果は得られないものの、1泊でも効果は期待できます。それが月に1回でも十分なのか、年に数回入るといいのか。実験を行った九州大学都市研究センターの馬奈木センター長は、研究を続けられるそうです。

SYMPOSIUM
REPORT 03

免疫力向上と、血液循環にも

検証結果を受けて、九州大学病院別府病院で温泉医学に携わる前田豊樹准教授は、「温泉に入り体を温めることで、腸が温まり、腸内細菌叢や腸管免疫が強まる。そうすることで体に都合のいい善玉菌だけを残して悪玉菌をやっつける、ということがよりパワーアップする。それで体にもいい効果が出るのではないか」と、コメント。

さらに「温泉に入って血液循環が非常に良くなると、心臓が軽くしなやかになり、広がった血管に血液を送り出すことができる。これにより血圧を下げ、さらに血液が十分に届いてなかったところに、速やかに血液を送り込むことができ、溜まった疲労物質などのストレス物質を洗い流してくれる。これによって体がリラックスし、血圧も下がる。温泉は、そんな二重三重の効果を生み、健康が増進される」とも。
なるほど。免疫力向上と、血液循環も影響しているんですね。
ただし。普段温泉に入らない人や高齢者が43度以上の温泉に入ると血液が固まりやすくなるので、避けた方がいいそうです(別府に住んでいて、毎日熱い温泉に入って慣れている人は対象外です)。でもアスリートは別!熱い温泉に短時間入ることでパフォーマンスが上がるというデータもあるそうですよ。

九州大学病院別府病院 准教授
前田 豊樹氏
SYMPOSIUM
REPORT 04

朝風呂が仕事の効率化につながる

前田豊樹准教授は以前、4泊5日であちこちの温泉に入る「温泉ツアー」の検証も行っていて、温泉に入ることで血圧が下がり、ストレス度が軽減されることも実証されているとか。

株式会社バスクリン つくば研究所 博士の石澤太市さんも、「別府温泉におけるワーケーションは、業務の効率化が期待できる」という研究結果を発表しました。
温泉で体温を高めたことが、良質な睡眠や血行促進による疲労回復につながり、温泉地での「ワーケーション」という転地効果がリフレッシュ感やリラックス感を高めたのではないか、との考察。

「朝風呂が仕事の効率化につながる」ことも分かったそうですよ。
いやいや。温泉のパワー、底知れないですね!

株式会社バスクリン つくば研究所 博士
石澤 太市氏

免疫力日本一宣言

さて。これだけの結果が
データを持って証明されたのですから。
「免疫力日本一宣言」を目指した
取り組みをさらに進めていきます。

健康になれるまち別府で新湯治ウェルネスツーリズム

日本には昔から、「温泉で心身ともにリフレッシュして、体を良くする」という湯治という考え方がありました。
別府には、江戸時代から多くの湯治客が訪れたという記録も残っています。
日本各地の温泉地でも湯治宿に泊まりながら温泉療養するという文化が根付いていましたし、別府の鉄輪温泉には今でも多くの湯治宿や湯治文化が残っています。今後はそんな湯治文化を、現代に合わせた「新湯治・ウェルネスツーリズム」として推進していきます。

TALK SESSION

旅と温泉と

トークセッションに登壇してくださった、「腸から人を健康にしたい」と研究されている株式会社バクテリコ代表取締役の菅沼名津季さんは、こんな提案も。

菅沼さん
「腸内細菌叢のデータを用いて“旅のパーソナライゼーション”をやってみたい。
腸内細菌叢は人によって違うので、個々に最適な温泉がどこでどのように入浴するのが良いのかを提案したり、宿ではその人の腸内細菌叢に合わせた食事を提供したり。そうして、世界中から別府に来た人がみんな健康になる。そんな一人ひとりに合った旅を提供できるようになったらいいなと思う。」

まさにこんな温泉観光が、新湯治ウェルネスツーリズムかのかも知れません。

株式会社バクテリコ代表取締役
菅沼 名津季氏
短編映画『縁石(ふちいし)』映画監督 斉藤 工氏

同じくトークセッションに参加してくださった俳優で映画監督の斉藤 工さんは、昨年、別府を舞台にした短編映画『縁石(ふちいし)』を撮影しました。その間、スタッフと共に宿泊していたのは、鉄輪の湯治宿だったそう。1週間の湯治宿生活で斉藤さんが魅せられたのが、地獄蒸し。

斉藤さん
「地獄蒸しって、めちゃくちゃ素材の甘みが出るんですよ。キャベツ単体でも、素材の味だけでおいしい。そこに、ちょっとカボス醤油をかけたりしてね。スーパーで買ってきた卵を地獄釜の中に半日ぐらい置いておくと、100度の熱とともにミネラルや色が染み込んでいて。それを食べて内側から、そして温泉で外側からも地球のエネルギーを浴びて、僕も今充電されている状態です。」

また、撮影で滞在した1週間はまさにワーケーションのようだったとも。

斉藤さん
「基本的に、撮影って何かが摩耗、疲弊していくんですけれど、今回はそれと同時に補われる力や恵みが多くて。撮影でくたびれてしまうっていうような瞬間が訪れなかったという、ちょっと奇跡のような日々でしたね。スタッフもキャストも、心が太って帰るような」

湯治宿で“温泉と共に過ごす”毎日を経験し、斉藤さん自身も「心と体のことを考えると、別府との2拠点生活を切実に考えています」と、温泉と地獄蒸しのある生活にすっかり魅了されてしまったようです。

別府に行けば いつも快適に過ごせて、 健康になれる。

別府市は、そんな本当のウェルネスリゾートが実現できる温泉地を目指します。 有限で大切な資源である温泉を守りながら、別府温泉の可能性を広げるチャレンジはまだまだ終わりません。

これからも進化するウェルビーイングな温泉観光地別府に、ぜひご期待ください。

ワーケーションも大歓迎

別府湯けむりワーケーション
ワーケーションで別府に訪れる方へ、
ワークプレイス、別府の宿泊施設などをご紹介します。
公式ホームページはこちら
別府ONSENアカデミア2022

パネルディスカッション
「温泉文化を持続可能にするために」
の様子はこちら

https://beppu-workation.jp/?p=2812
  • ※各施設の詳しい情報は、公式ウェブサイトまたはお電話にてお問い合わせください。

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