
からだと心をリフレッシュ!
じんわり、ととのう。別府の砂湯
湯けむり漂う温泉のまち。日本有数の源泉数、湧出量を誇る別府市には、湯に体を直接浸ける一般的な温泉をはじめ、手湯や足湯など手軽に楽しめる温泉も点在しています。
多彩な温泉が楽しめる別府のおすすめスポットとして今回ご紹介したいのは、一般的な温泉とはひと味違う“ととのい体験”ができる「砂湯」。じんわりと全身が温まっていく感覚や、ほどよい砂の重みなど、唯一無二の独特な心地良さを求めて、温泉初心者から上級者まで幅広く親しまれています。


砂湯は、温泉や温泉の蒸気で温めた砂を利用する入浴法です。専用の浴衣を着て砂の上に横たわり、首から下を砂に埋めて全身を温める、温泉の一種です。

10分程でじわじわと体が温まってくるので、温泉に比べて発汗作用を実感できるという声も多く、血行促進が期待できます。施設によって異なりますが、砂の温度は40~50℃程度なので、「スッキリ汗をかきたいけれど、サウナほどの高温は苦手」という人にもおすすめです。

日本有数の温泉地別府市に根づいた入浴文化のひとつとして、伝統を受け継ぎながら時代に合わせた進化を遂げています。


別府海浜砂湯の名物のひとつは、体に砂をかけてくれる“砂かけさん”の存在。竹内さんはリニューアル前の施設の頃から働いていて、砂かけさん歴は8年目になります。別府海浜砂湯は、深いところで60度以上にもなるそう。それぞれの好みに合わせて砂を掘り、横になったお客様の身体に砂を素早くかけていきます。そこで使うのが、“ジョレン”と呼ばれる鍬(くわ)のような専用の道具。

「温度の加減を聞きながら、砂の量やかける箇所を調整します」と、とても繊細な作業が必要ですが、全身が砂に埋まった状態でゆっくりと過ごしてもらうために、砂かけの時間はわずか3分程度。そんな忙しい砂かけ中にもコミュニケーションを欠かしません。「どこから来られたのかを伺ったり、おすすめのスポットをお伝えしたり。いろんな地域から来てくださるので、私たちも会話が楽しいんです」といいます。
竹内さんが教えてくれた砂湯の大きな特徴は、全身に感じられる指圧効果です。「砂の重さによって全身のツボが刺激されているような感覚になります。肩や腰など不調のある部位に多めにかけてほしいとお願いされることも。砂から出ると、“身体が軽くなった!”と驚くお客さまが多いです」。温泉とはちょっと違う、砂湯ならではの心地よさがあるようです。

施設によって様々な砂湯が楽しめる!
今回ご紹介する施設



1532年、別府の海岸各所で湧き出した温泉を活用した「天然砂湯」が誕生。大勢の湯治客でにぎわっていたといいます。その文化を継承するために1986年に設立された市営の「別府海浜砂湯」は、観光地別府の魅力を詰め込んだパーク&リゾートをコンセプトに、2025年にリニューアル。目の前に別府湾が広がる上人ヶ浜公園内に、砂湯、大浴場、足湯が楽しめるスパエリアの他、コテージ、レストラン、ショップと、別府の魅力を堪能できる贅沢なスポットです。

連日多くの観光客が訪れる砂湯には、温泉をたっぷりと張って加熱した砂を使用。そこに横になると、砂かけさんが“ジョレン”と呼ばれる専用の道具を使って体に砂をかけてくれます。水分を含んだ砂のほどよい重さが全身を包み、なんともいえない心地よさにうっとりしていると、ほどなく体がじんわりと温まってきます。静かに目を閉じれば、打ち寄せる波の音や、頬をなぞる潮風が、リゾート気分をさらに高めてくれます。そして、砂から出たあとの海風が最高に気持ちいい!-豊かな自然の恵みに感謝したくなる、この場所だからこそ感じられる感覚です。砂に埋もれたちょっとユニークな姿は、砂かけさんにお願いすれば記念撮影してもらえるので、ぜひ体験してみてください。


- Sand SPA(別府海浜砂湯)
- 住所:大分県別府市上人ケ浜町795-1
駐車場:あり(104台無料)
アクセス:別府駅から車で約15分
所要時間:30分(うち砂湯に埋まる時間は約15分)
持ち物:不要
その他:※未就学児(5歳以下)は利用不可


大正11年(1922年)の創業以来、観光客のみならず地元の常連客にも親しまれている『ひょうたん温泉』は、2019年にリニューアルオープン。大浴場、露天風呂、家族風呂など多彩な温泉を備えていて、源泉100%のお湯はなんと自家源泉。保湿効果の高いお湯としても知られています。
そんな贅沢な温泉の蒸気で温めた砂を使う砂湯は、季節によって最適な温度に調節しています。一般的な砂湯よりも温度がおだやかで、ゆっくりと楽しむことができます。数分横になっているだけでも、じんわりと心地よい汗が。砂かけスタッフはいないので、ご家族で、カップルで、お友達とお互いに砂をかけ合ったり、ひとりで好きなだけ砂をかけて埋もれたりと、自分スタイルで楽しみましょう。

砂湯でじんわり汗をかいたあとは、大浴場にある“むし湯”に入るのがおすすめです。もくもくと立ち上る蒸気を全身で浴びることで温泉成分を肌に閉じ込めて、一層の美肌効果が期待できるのだとか。そのほか、温泉の蒸気で食材を蒸す鉄輪温泉ならではの調理法「地獄蒸し」料理が味わえる食事処や、湯上りに食べたい冷たいスイーツや温泉卵なども味わえ、まるでアミューズメント施設のようなワクワクも感じられます。


- ひょうたん温泉®砂湯
- 住所:大分県別府市鉄輪159-2
駐車場:あり(約80台無料)
アクセス:別府駅から車で約15分
所要時間:10~15分(砂湯に埋まる時間)
持ち物:不要※有料の貸バスタオルや販売用小タオルあり


歴史、温泉、建物と、あらゆる観点から別府のシンボル的な存在として外せない『竹瓦温泉』。明治12年(1879年)に竹屋根葺きの浴場として創業し、その後瓦葺きに改築されたことからこの名がつけられたそうです。現在の建物は昭和13年(1938年)に建築されたもので、正面には、日本の建築で採用される屋根の造形様式のひとつ「唐破風造(からはふづくり)」が荘厳な雰囲気を醸しています。地元民の生活温泉としても親しまれている市営温泉なので、ローカルな旅を楽しみたい人に人気。温泉は源泉かけ流しで、男湯が塩化物泉、女湯が炭酸水素塩泉と、男女で泉質が異なるのは、他にはあまり見られない特徴です。

趣あふれる建物の中で体験できる砂湯には、温泉を溜めて温めた砂を使用。ぽかぽかの砂の上に寝転ぶと、砂かけさんが全身にくまなく砂をかけてくれます。温泉成分をしっかり感じながら、じんわりと汗をかく極楽体験。ふと目を開けて広がる風景に、なぜか懐かしさを感じる――。このタイムトリップ体験は、ここでしか味わえない感動があります。
砂湯の後は、自慢の温泉へ。43度以上とやや熱めのお湯でさらにスッキリ!地元の人が日常使いする温泉でもあるので、ルールやマナーを守って入浴しましょう。


- 竹瓦温泉
- 住所:別府市元町16-23
駐車場:なし(周辺Pをご利用ください)
アクセス:別府駅から徒歩約10分
所要時間:時間確認
持ち物:シャンプー等のアメニティ類やタオルは有料販売のみ。持ち込み可。
“砂に埋もれる”という非日常体験に、
大人もきっとはしゃいじゃう!
温泉文化を、文字どおり“肌”で感じられる貴重な時間になるはずです。
