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別府・鉄輪で心をほどくプチ湯治

国内外さまざまな人々が温泉を求めやってくる場所、別府・鉄輪(かんなわ)。このまちでは、宿に泊まって湯に浸かり、心と身体を癒す「湯治(とうじ)」文化が根づいています。
1ヶ月ほど滞在し、温泉での療養を行うことが湯治のスタンダードですが、今回おすすめしたいのは、週末など2〜3泊で気軽に楽しむ“プチ湯治”です。
予定をめいっぱい詰め込んだアクティブな旅とは一味違う、心と身体をほどく湯治たびを体験してみませんか。

大きなタンクのパイプから、側溝や川から、路地から、あらゆる場所から湯けむりが立ち上り、もわもわと白く包まれた温泉街、鉄輪。鎌倉時代にこの地を開いたとされる一遍上人の伝説が残り、観光名所の「地獄」が集中しているエリアです。古くから温泉とともに発展し、多くの人が訪れています。

そんな鉄輪には泉質の異なる大衆浴場がたくさんあり、地元の人の憩いの場として存在しています。また、リーズナブルな価格で温泉を巡ることができることもまた魅力の一つ。
湯治のまちである鉄輪には、温泉の蒸気で食材を調理できる「地獄釜」を有する、昔ながらの湯治宿もあちこちに存在し、今も湯治客の第二の故郷として宿泊客を出迎えています。
鉄輪は山と海と湯けむりの情緒ある景色と温泉が、別府ならではの日常を色濃く感じられる場所でもあります。

温泉の豊かな環境に長期滞在し、 病気を治したり、体調を整えたりすること

湯治は約1300年も前から行われてきた養生法です。昔は1ヶ月や2ヶ月など長期間宿に滞在し、温泉の効能によって病気を癒し、体調を整えました。戦国時代には、傷を負った兵の療養にも活かされていたようです。
現代のライフスタイルで1週間以上、本格的な湯治をするのは至難の業。そこで、忙しい人たちにも気軽に温泉の恵みを体感できる、さまざまな湯治のスタイルが提案されています。
今回ご提案するのは、週末の2〜3日を利用し、少しだけ行う「プチ湯治」です。

日本各地に湯治宿や湯治文化が根付いていますが、鉄輪の「貸間」スタイルは独特。
一番の特徴は、「地獄釜」でしょう。貸間に泊まる湯治客は、温泉の蒸気を利用した「地獄釜」でご飯を炊いたり、野菜を蒸したり。温泉のエキスたっぷりの蒸し料理を日々いただきながら、温泉に通う日々を過ごします。
貸間のなかには、宿の真ん中に「地獄釜」があり、周囲を囲むように部屋が並ぶ宿もあります。釜を利用しながらお客さん同士の交流が生まれることも貸間の醍醐味です。
同じエリアにかかわらず、泉質が異なる温泉が多数あるのも鉄輪湯治のポイント。宿の温泉以外にも共同温泉へ足を運んで、蒸し湯や砂湯などの変わった温泉も楽しめることも鉄輪湯治の楽しみの一つです。

鉄輪の湯治宿といえば、特徴的なのが地獄釜です。初めての方にはハードルが高いと思われてしまいがちですが、そんなことはありません。食材を釜に放り込んでおけば勝手に蒸し上がりますし、食材も自由です。蒸し時間は、好みによって調節すればいいので、実は気軽にできる調理法なんですよ。それでいて、なんでも美味しく仕上がる。ぜひ、温泉の成分を含んだ「地獄蒸し」を楽しんでもらいたいですね。
湯治と聞くとなんだかハードルが高そうに感じますが、滞在する期間に関係なく「温泉に入って宿に泊まる」だけで、立派な湯治なんです。地域に溶け込んで、暮らすように滞在するっていうのも特徴で、観光とは一味違った体験ができます。心と体が癒され、居心地よく過ごせるたび。登山に行く人、温泉巡りする人、それぞれで自由度が高いんです。年配の方も多いですが、レトロな雰囲気が好きな方や、地獄蒸しをしたい方など若い方も少なくありません。
予定をたくさん決めて観光地をめぐるたびもいいですが……何も決めずに滞在するだけでも、楽しく過ごせるのが鉄輪の湯治です。ぜひノープランで、遊びに来てください。予定がない滞在も楽しいものですよ。

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温泉に身をゆだね、ぼーっとする

湯治の醍醐味は、好きな時間に好きなだけ温泉に入れること。鉄輪エリアには数多くの共同温泉があり、値段もお手頃。それぞれ泉質も異なるため、温泉ごとの違いを楽しむこともできます。宿から歩いて、いろんな温泉に足をのばしてみましょう。

地元民の憩いの場所。 ふらりと立ち寄りたい、鉄輪の共同温泉 地獄原温泉

鉄輪エリア、観光客がそぞろ歩く石畳のいでゆ坂にある温泉。明治の初め頃からある、歴史あるお湯です。「地獄原(じごくばる)」という名前はインパクトが大きいけれど、地元の人々に愛されている温泉。清潔な浴室と浴槽には、美肌に良いといわれるメタケイ酸が豊富で、なめらかな感触の塩化物泉がなみなみと注がれています。

地獄原温泉
営業時間 10:00〜17:00
定休日 なし
料金 100円
駐車場 なし
詳しい施設情報はこちら

熱の湯

入浴料が無料の温泉です。浮湯、怒湯、金の湯などと呼ばれ古くから利用されてきました。体の熱を除去する効果があることから名付けられたと、伝えられています。入口向かって左側には「熱の湯源泉跡」と呼ばれる泉源の跡、右側には洗濯場などが現存しているので、ぜひ覗いてみてください。

熱の湯
営業時間 6:30〜21:00
定休日 年末大掃除日(不定)
料金 無料
駐車場 施設前に有料駐車場あり
詳しい施設情報はこちら

まちを散策、部屋でのんびり。気ままに過ごす

湯治たびは、ノープランでいくのがおすすめ。「温泉に浸かり、ゆっくり過ごす」ことが一番の目的です。あとはのんびり、暮らすように過ごすだけ。心の赴くままに、余白を楽しむ時間を味わってみて。

あちこちから湯けむりが立ちのぼり、歩くだけで温泉を浴びることができるまち鉄輪。心惹かれる小さな路地や、個性的なお店が点在しています。四季によって変わる木々や草花の変化、雨や曇りに煙るまちの表情。ここならではの、見たことのない景色を楽しみましょう。

湯治たびは自炊が基本 別府ならではの「地獄蒸し」を楽しむ

鉄輪には「地獄釜」を備え、自炊用のキッチンを併設したお宿がたくさんあります。八百屋さんやスーパーマーケットもあるので、お好みの食材を購入し、自分で地獄釜で調理・食事するのが一般的。
料理が得意でなくても問題ありません。食材を地獄釜に入れ、あとは蒸されるのを待つだけ。食材の旨味がぎゅっと詰まった、ヘルシーでおいしい特別なごちそうの完成です。

気ままに選ぶ、私にちょうどいい湯治宿

別府・鉄輪の湯治といえば、古くから親しまれているのは「貸間」。現代のたびのスタイルに合わせ、自炊できるキッチンや地獄釜を備えるなど宿ごとにさまざまな工夫がされています。
自分らしくのんびりと、一人ひとりの「湯治スタイル」に合う、心地よい宿を見つけてください。

昔ながらの「貸間」スタイル 陽光荘

元は「鉄輪地獄」という観光名所だった場所に建てられた、築50年以上の湯治宿です。古き良き「貸間」は全室和室。豆タイルや趣のある鏡、昭和の模様ガラスなどタイムスリップしたような懐かしさを覚える空間です。勢いよく蒸気の立ち上る温泉タンクをぐるりと囲むように建物があります。館内は、外観からは想像もできないおもしろい構造。小さな階段と細い廊下が続き、まるで迷路のようです。各部屋には自炊に必要な鍋や羽釜、食器などが用意されています。地獄窯のある調理所は、1階と2階の2箇所。お客さん同士が釜に集まり話をして、自然と交流が生まれる。そんなあたたかい触れ合いも滞在の楽しみのひとつです。現役引退したご夫婦や、最近はレトロ好きの若者の利用も増えています。都会的なホテルとは異なる、レトロでのんびりした雰囲気。現代風の宿では味わえない心地よさを味わってください。

陽光荘
住所: 大分県別府市井田3組
TEL:0977-66-0440
駐車場:あり
チェックイン:14:00~17:00
チェックアウト:10:00
公式サイト:http://www.ctb.ne.jp/~yokoso-ryokan/
詳しい施設情報はこちら

鉄輪の中心に位置する湯治宿 大黒屋

1945年ごろに創業した湯治宿。すべて和室で、6畳と12畳の部屋があります。地獄釜は外からも入りやすい場所にあり、立ち寄り利用も可能。食材の持ち込みは自由です。野外で食事ができる屋台をはじめ、共用部分がたくさんあります。以前、湯治といえばこぢんまりと地獄釜を利用する人が大半でした。現在では、旅の途中で仕入れた食材やドリンクを大量に持ち込み、バーベキューするように賑やかに過ごす人、クーラーボックスにドリンクを買い込んで楽しむ人もいるようです。人それぞれの地獄蒸し、湯治スタイルを満喫しましょう。滞在は3〜5泊ほどが多く、ワーケーションやリモートワークの場として利用される人も増加。学生グループや親子2世代での宿泊客なども訪れています。「町のよさを伝えることで、宿の満足度も上がるのが嬉しい」と語る店主。泊まった人が、元気になって帰れる宿です。

大黒屋
住所: 大分県別府市鉄輪上3
TEL:0977-66-2301
チェックイン:16:00~21:00
チェックアウト:10:00
駐車場:あり
詳しい施設情報はこちら

女将に会いに行きたい宿 ひろみや

1960年、湯治宿としてスタートしたお宿、2019年にリニューアルして「ひろみやToji Stay」に生まれ変わりました。湯治よりもっと気軽に、素泊まりで短期滞在する方が多くなっています。「由布」「扇」「祖母」など大分県内の山の名前が付けられた各部屋は、シンプルな和室。部屋には心地よい風が吹き抜けます。共同キッチン、共同トイレはとっても清潔です。共用ラウンジには、イラストレーターのトビイ・ルツ氏による壁一面のマップが描かれています。1番の特徴は、明るく優しい宿主・みほさんのお人柄。海外のお客様を初め、地元の大学生や地域の人など、その人柄に惹かれて多くの人が集まってきます。友人宅に泊まったような気軽な雰囲気で、地元の温泉を楽しめるお宿です。

ひろみや
住所: 大分県別府市井田4組
TEL:0977-66-0628
  090-8390-3465
チェックイン:15:00~20:00
チェックアウト:10:00
駐車場:500円/泊 ※事前予約制
公式サイト:https://www.tojistay.com/
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現代の湯治を体験 富士屋ホテル

地獄蒸しや温泉を楽しみながら、ゆったり過ごせる宿です。1899年(明治32年)から続いてきた旧冨士屋旅館を再生工事を施して今に残し、2024年、その隣に新館を設け、冨士屋ホテルとしてオープンしました。全17の客室には、選書家による「一室一冊」やこだわりのスピーカー、心に染みる絵画など、心地よい工夫が散りばめられています。眺望のいいテラスは人工芝が敷き詰められ、別府の景観と湯けむりを間近に裸足で過ごせるスペース。中庭とつながっている地獄蒸しキッチンは、こだわりが詰まった空間です。蒸して、切って、食べる一連の動作が1箇所で完結し、その場にいる人みんなが地獄蒸しを堪能できるよう設計されています。「蒸し料理もいいけれど、煮込み料理もぜひ作ってみて」とオーナー。厳選された調味料も揃っています。温泉の恵みに包まれながら、ゆったり流れる時間を味わいましょう。

冨士屋ホテル
住所: 大分県別府市鉄輪上1組
TEL:0977-66-3251
チェックアウト: 11:00
駐車場:あり
公式サイト:http://kannawa-fujiya.com/
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洗練された雰囲気と静けさ アサヒヤ

洗練された客室と、2種類の泉質の温泉が特徴の静かな宿です。2022年、古くから営んできた「旅館アサヒヤ」をリニューアルオープンしました。部屋は10室のみで、露天風呂付きの客室もあり、ゆったり過ごせる場所として人気を博しています。木のぬくもりを感じる館内は、全室小さなロフト付きで、童心に返ったようなワクワク感が楽しめます。天窓から夜空や湯けむりを眺める時間は、なにものにも代えがたいひととき。食事は、地獄蒸しを体験しましょう。地獄釜に食材を入れ蒸し上がるまでの時間も、楽しみのひとつ。普通の野菜もごちそうに変わります。朝食は大分県産のごはんのほか、魚や野菜など地元の食材をふんだんに使ったやさしい味のメニューをいただきます。静かに落ち着いて過ごせる、大人のお宿です。

アサヒヤ
住所: 大分県別府市鉄輪井田1組
TEL:0977- 66 - 0237
チェックイン:15:00~20:00
チェックアウト:10:00
駐車場:あり
公式サイト:https://www.asahiya-beppu.com/
詳しい施設情報はこちら
  • ※各施設の詳しい情報は、公式ウェブサイトまたはお電話にてお問い合わせください。

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