愛媛の八幡浜から、大分の臼杵・別府へは、どちらも、フェリーで一本。
しかも、映画を一本見終わる頃に到着です。
おすすめは、よくばりな2市めぐり。
ユネスコにも認められた食のまち・臼杵と、日本一の湧出量を誇る湯のまち・別府。
そんな面白いまちが、電車で1時間の距離にあるのですから。
ゆるっとした空気が流れる船内で、「着いたらまず、どこへ行こう」と、ぼんやり思う時間も、贅沢。
次のお休み、海を渡ってみませんか?
旅先その1.なぞめきのまち 臼杵。
臼杵のまちに持つイメージって?
『ふぐ』で有名な臼杵市。“ザ・港町“かと思いきや、港から車で10分も走れば山も。そして歴史的にも興味深いエピソードが多い、なぞめきのまちです。
例えば、『国宝臼杵石仏』。平安時代後期から鎌倉時代にかけて彫られたものとされていますが、目的や作者は謎に包まれたままです。戦国時代にはキリシタン大名・大友宗麟が、“天然の要塞“とも呼ばれる城を築城し、その名を轟かせました。江戸時代には城下町も整備され、賑わいを見せた一方、15代に渡り臼杵を治めた藩主・稲葉家が掲げたのは『質素倹約』『勤勉』の心。その精神は今も引き継がれています。
まちのさまざまなスポットを巡るたび、「もっと知りたい!」と思わせてくれる、なぞめきのまち・臼杵。コンパクトで、動きやすいところも魅力です♪
国内2都市目!ユネスコが認めた食文化創造都市。
文学、映画、音楽、クラフト&フォークアート、デザイン、メディア・アート、食文化。それら7つの創造的な産業において、国際的に貢献できる価値を持った都市が加盟できる『ユネスコ創造都市ネットワーク』。2021年、臼杵市はその『食文化部門』に加盟しました。
そんな臼杵市の“食文化“とは?例えば、味噌や醤油、酒などの『醸造業』。江戸時代に藩主・稲葉家によって伝承された『本膳料理』、倹約令の発令下で生まれた質素倹約精神の『郷土料理』、禅寺の住職による『精進料理』、そしてもちろん『ふぐ料理』。さらに近年は、『ほんまもん農産物』。市が先頭に立って開設した『臼杵市土づくりセンター』で生まれた完熟堆肥『うすき夢堆肥』などで土づくりをした畑で育った野菜たちは、市内の様々な飲食店で愛されています。
こうした“食文化“に触れてみるのも、臼杵旅の醍醐味です。
臼杵では年中、ふぐざんまい。
市内を散策していると、あちらこちらに『ふぐ』の文字。古くから良質なふぐの漁場として一目置かれていたものの、長きにわたり、他の地域に送り出す側だったという臼杵。それが今から50年ほど前、「自分たちで腕を磨いて、捕れたてのふぐを食べてもらおう」と地元の料理人が立ち上がり、以降、臼杵は“ふぐのまち“となりました。
そんな『臼杵ふぐ』は、コースで余すことなく堪能できます。ランチタイムに営業しているお店も多数。
「世の中には100種類ほどのふぐが存在しますが、『臼杵ふぐ』と言えば旨味いっぱいのふぐの王様・トラフグ。料理人によって、刺身の引き方にも個性があるので楽しいですよ」と、市内の割烹『みつご』のご主人。
臼杵を旅すると決めたなら、まずは「ふぐの予約を入れる」ことから。間違いなく、幸せな瞬間が待っていますよ。
道ゆけば、ご当地ソフトクリームの誘惑。
城跡にノスタルジックな商店街、公園…など、臼杵は散策を誘うまち。そのお供にぴったりなのが、手軽で美味、さらにご当地らしさもギュッと詰まったソフトクリーム。気になるものを次々と制覇していくのも楽しいし、『臼杵市観光交流プラザ』に立ち寄れば、ソフトクリームと、醤油やせんべいなどの特産品をお得に購入できるクーポンがセットになった、『ソフトクリーム&うすきクーポン』(1000円)も販売中。
こちらも、ぜひ注目しておきたい、臼杵のグルメ代表です!
うすきで、うっとり。うすきで、うっとり。
ここに新しい器の歴史の始まりが
江戸後期、臼杵藩の殿様に献上するために誕生したという『臼杵焼』。当時は窯場があった地区の名前から『末広焼』と呼ばれていましたが、わずか10年余りで姿を消してしまいました。
それから200年。関西と有田、それぞれで陶芸を学んだ宇佐美裕之さんと薬師寺和夫さんが、地元で立ち上げたのが『臼杵焼』の復興プロジェクト。かつての焼物から着想を得た、新しいものづくりが始まりました。
現『臼杵焼』には、「輪花」と呼ばれるモチーフを主に取り入れ、型を使って成形する磁器と、ろくろや手びねりで成形する陶器の両方が。臼杵ICから車で約20分の野津町にある工房では、陶器『臼杵焼』の制作が体験できます。2022年秋には、『国宝臼杵石仏』入口に、新しい見学工房も誕生する予定だそう!
ときめきをコラージュ。臼杵アルバム
臼杵のまちを旅する中で出会った、さまざまな風景。
ときめいた瞬間をクローズアップ。
SPOT1
臼杵ICを降りてすぐ。国道を1本入っただけなのに、すでにのどかなムード漂う場所に店を構える『スズナリコーヒー』。店内には、海をはるばる渡ってきた2台の大きな焙煎機が並び、臼杵の凝灰石を天板に使ったカウンター席からは、美しい山々が望めます。コーヒーは、単一農園生まれのシングルオリジンとオリジナルブレンド、合わせて4,5種類から豆を選べるスタイル。「臼杵が居心地良すぎて、離れられないんです」とほほえむオーナーの丁寧なドリップで淹れられたそれらは、飲み口軽やか。オーナー曰く、「明るいコーヒー」と表現するそう。ショーケースに並ぶ焼き菓子と、ぜひ一緒に味わって。
SPOT2
小高い丘の上から、臼杵のまちを見守る『福良(ふくら)天満宮』は、学問の神様・菅原道真公を祀る神社。と同時に、“幸せを招く赤猫”の神社としても知られています。江戸から明治時代にかけ、商業で栄えた臼杵で大成功を納めた大塚幸兵衛氏が「あかねこ」と呼ばれていたこと、そして神社のお稲荷さんを崇敬していたことから、のちに赤猫の置物が作られるようになり、手にした人から「幸せが来た」の報告が続々と。その幸せをより多くの人にと、境内には「招霊赤猫社」(おがたまあかねこしゃ)が建てられ、毎年4月には「うすき赤猫まつり」も開催されるように。おみくじも、もちろん赤猫。人気です。
SPOT3
石畳の道沿いに白壁の建物が並ぶ、『臼杵市中央通り商店街』。その中にある『豊後感動本舗』は、「臼杵の魅力を全国にアピールしたい」という熱い思いを持ったオーナーが開いた複合ショップ。店内には、臼杵煎餅や有機和紅茶などを揃えるお土産ショップや臼杵にゆかりのある作家の作品を紹介するギャラリー、『ほんまもん農産物』をメニューに取り入れたオープンカフェ、そしてモダンな佇まいのふぐ茶漬け専門店『豊後福屋』が。新鮮な身を炙り、うまみをギュッと閉じ込めたふぐに、オリジナルの出汁をたっぷりと注いでいただけば、笑顔になれること間違いなし。2022年春には、2階にもカフェスペースが登場。雑貨などの販売もスタートする予定!
SPOT4
「臼杵は、駅がかわいい!」と聞いて、足を運んだJR臼杵駅。台形屋根の駅舎も既にキュートだけれど、改札からホームを覗いた先に見つけたのは…『う♥』の駅名標。隣に大ヒントがあるので、ここではあえて答えを割愛させていただくとして、こうしたチャームポイントを受け入れている、まちや駅の、懐の深さに感激。ちなみに、写真のように天使の姿が現れるのは、バレンタインデーシーズン限定。あとは七夕シーズンにも、季節限定モチーフが登場するそう。別府へ電車で移動する際は、ぜひ記念撮影を♥。なお構内には、旅人の頼れる味方『臼杵駅観光案内所』も。
時刻表や運賃はこちらから
宇和島運輸フェリー
https://www.uwajimaunyu.co.jp/
オレンジフェリー
https://www.orange-ferry.co.jp/
臼杵・別府の市内を巡るなら、レンタサイクルも便利♪
おおいたサイクルシェア
https://docomo-cycle.jp/oita/
WANDER COMPASS BEPPU
https://www.b-bizlink.or.jp/news/wandercompassbeppu
ジャイアントストア別府
https://giant-store.jp/beppu/
臼杵駅観光案内所・臼杵市観光交流プラザ
https://www.usuki-kanko.com/archives/useful_cat/rental