ふと足を踏み入れてみると、初めてなのに落ち着く場所があります。どこか懐かしい匂いやあたたかさが満ちていて、思わず足をとめてしまうお店や、キラキラした輝きはないけれど居心地のよい、ほっとする空間もあるでしょう。古くから人気温泉地として歴史を刻んできた別府には、みんなに愛され、大切にされてきたレトロな見どころが満載です。
どこからともなく漂ってくる、香ばしいしょうゆダレの匂い。力強く訴えかけてくる手書きの貼り紙。行列のできるお惣菜屋さん、オシャレでおしゃべりなマダム、鼻をくすぐる緑茶の香り。 「あ、これ安い」「これ美味しそう!」と、あちこち目移りして止まらなくなってしまいます。
ちょっと寄っていきなさいよと誘われたり、お客さん同士のおしゃべりに花が咲いたり、店員さん同士が笑い合っていたり。いろんな音と匂いと空気が混ざりあっている場所。
べっぷ駅市場は、1966(昭和41)年から、別府市民の台所として親しまれてきました。当時は日本でも有数の集客数と売上を誇る商店街で、真っすぐ歩けないほど大勢の人で賑わったといいます。現在でも八百屋、肉屋、魚屋、花屋などの専門店が軒を連ね、飾らない雰囲気が魅力的です。
ところどころに休憩スペースがあり、戦利品をすぐにいただけるのも嬉しいポイント。歩いて、買って、食べて、喋って、じんわりあたたかく、楽しい気持ちになれますよ。
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大分県別府市中央町6−22
別府の海から山の方へ向かい、真っ直ぐに続く流川通りを進むと、道の終わりに現れるオモチャのお城のような建物。
1929(昭和4)年から90年以上続く遊園地「別府ケーブルラクテンチ」のゲートです。山の麓にあるゲートからケーブルカーに乗り込むと、窓の外はぐんぐん遠ざかり、あっという間に山の上の遊園地に到着します。
別府ケーブルラクテンチ名物「あひるの競走」では、色とりどりのリボンをつけた8羽のあひるたちがお出迎え。スタッフさんの声や指示にしっかり従っていて、微笑ましい光景です。他にもヤギ、ミーアキャット、ウサギ、ロバ、フラミンゴ、クジャク、カピバラ、ペンギンなどたくさんの動物に出合えます。園内にある乗り物も動物モチーフがいっぱい。開園当時から現代まで、現役で活躍するアトラクションもあるんですよ。
別府の市街地からでも目立つ珍しい姿の観覧車は、日本唯一の二重式観覧車。ゴンドラはすずらんの花のようなかわいいフォルムです。園内の長い吊橋は、歩く度に揺れて少し勇気がいりますが、別府の街と海が一望できる絶景スポット。
春は桜が咲き乱れ、園内をピンク色に染め上げる景色。新緑、紅葉、雪景色など四季を肌で感じられます。広々とした絶景温泉も見逃せません。
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大分県別府市 流川通り18丁目
1949(昭和24)年に創業、最初は平屋だった映画館は、二度の改修を経て現在の姿になりました。創業以来、館内の内装は変わっていないと言います。 90歳を超えてなお元気に活躍する館長・岡村照さんは、優しくて気さく、そしておちゃめな人柄。老若男女問わず「照さん」と呼ばれ親しまれています。照さんの父親が「子どもに夢を与えたい」と始めた映画館。39歳で旦那さんに先立たれた後も、劇場を守り続けてきました。
「スクリーンと客席が近いこと、そしてアナログの音がリアルに聞こえる音響が相まって、上映が始まるとあっという間に没頭できる映画館だって、監督さんにも言われるんですよ」と、マネージャーの岡村実紀さん。
現在、ブルーバードでは「別府短編映画プロジェクト」が進行中です。2020年4月からスタートしたこのプロジェクト。別府の街を舞台に、名だたる監督たちによって作られた短編ムービーが上映されています。上映時間は30〜40分。旅の隙間のふとした時間に気軽に観覧できる、ここだけのお楽しみをどうぞ。
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大分県別府市北浜1丁目2−12
ソルパセオ銀座商店街の中にある1963(昭和38)年創業の「喫茶なつめ」は、地元民も観光客からも愛される、由緒正しき喫茶店です。大好きな夫に先立たれ、悲しみにくれながらもお店を続けてきたのは、店主の松尾千絵さん。ほがらかな笑顔の中にも芯の強さをうかがえる女性で、とにかくお客さんを喜ばせたいといいます。
名物の「温泉コーヒー」は、まろやかで優しく、ほっと一息つける味わい。食事やスイーツは、店主こだわりの味とボリュームに驚くこと間違いなしです。大量の炒め玉ねぎをじっくり大鍋で煮込んだ、優しいのにスパイシーな懐かしさも感じるカレーは洋食店顔負けの味。表面をこんがり焼き上げた分厚いトーストに、たっぷりのあんことアイスクリームが乗っている小倉あんトーストもおすすめです。ほのかに塩味のする手作りあんこは絶品ですよ。
ふかふかのソファーでまったりくつろぐもよし、友人とのおしゃべりを楽しむもよし、しっかり腹ごしらえをするもよし。各テーブルにあるノートもぜひ覗いてみましょう。旅の感想や個性的なイラスト、思わぬ別府情報も書かれています。
50〜60年代のファッションに身を包んだ男女が吸い寄せられていく一角があります。「別府ヒットパレードクラブ」は、オールディーズの生演奏が楽しめるライブハウス。全国から老若男女幅広い層のファンが訪れ、常連客も多い人気スポットです。1988(昭和63)年に誕生しましたが、2014年に一時閉鎖、2017年には火災に見舞われてしまいました。しかし危機に陥るたび、熱烈なファンに支えられ、復活を遂げています。
1日に行われるステージパフォーマンスは5回です。照明が変わりステージが始まると、スポットライトに照らされ登場するヒットパレーダースの面々。曲が始まるやいなや、ステージ前のお客さんたちが、完璧なダンスで演奏を盛り上げます。そんな様子に圧倒されつつ、華麗な歌声と心地よい音楽に身を任せて、気づけば踊りだしてしまうでしょう。
紙に書かれた曲の中から、リクエストも可能です。フリードリンク&バイキング方式なので、とことんまでステージを堪能しましょう。徹底された世界観で、他では味わえない、特別な時間が流れる空間です。
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大分県別府市北浜2丁目1−2