母娘ふたりでゆったり、
非日常を味わう。
さんふらわあで航く別府への旅
まるで、ホテルにいながら
移動しているみたい……
海の上・船の中では、いつもと少し違う特別な時間が流れています。
旅行は楽しいけれど、時間を見ながらの移動は意外と大変。飛行機や電車の乗り継ぎで、観光前に少し疲れてしまうこともあるでしょう。
もしも船旅なら……美味しいものを食べたり、あたたかい湯に浸かったり、周りを気にせずプライベートな空間でおしゃべりに花を咲かせたり。そんな時間を重ねるうちに目的地へ到着します。何をするか、どう過ごすかは、人それぞれ。移動時間と宿泊時間を一緒にすることで、いつもとは違う時間の使い方もできそうです。
それでは船中2泊、別府1泊。母娘旅のはじまりです。
新造船のさんふらわあ「くれない」で大阪から別府へ
母娘が大阪から乗り込んだのは
2023年に就航した
新造船「くれない」
乗船後、最初に足を踏み入れるエントランスは、3層の吹き抜けになったゴージャスな内装。天井にはプロジェクションマッピングによる映像が映し出され、ワクワクするような演出です。まるでホテルにいるような感覚になる中、船旅の気分を盛り上げてくれる丸い窓。よく見ると、あちこちにあるソファは船のフォルム。心くすぐるかわいいモチーフが隠れています。
船中の客室は20種類以上。今回母娘はスイートに宿泊します。
食事はビュッフェ形式です。和洋中バリエーション豊かで、もちろんスイーツも充実。新鮮な海の幸で、大分の郷土料理「りゅうきゅう」にも挑戦できます。
お腹がいっぱいになったら、
あとはのんびり母娘の時間。
大阪から別府に向かう20:00頃には、レインボーに光る明石海峡大橋を通過しますので、お見逃し無く。
お土産ショップも要チェックです。オリジナルのマグカップやお菓子などが揃っており、ショッピング好きな母娘なら会話も弾みそう。
お部屋に戻ったらまったりタイム。普段は話せないことも、ゆったりとした海の上なら話せそう。船旅ならではの贅沢な時間です。
寝心地のよいふかふかベッドで、ぐっすり睡眠。
船旅のおすすめポイント
目覚めた朝には、
泉都・別府に到着。
別府の海から陸を見ると、眼前に大きくそびえる扇山、
そして幾重にも伸びる湯けむりがお出迎え。
「これぞまさに温泉地!」な景色に、旅の期待が膨らみます。
ここで少し、別府の港と船、
観光の歴史をおさらい
油屋熊八と
別府観光の
歴史
その昔、楠港と呼ばれていた別府の港。1871(明治4)年、大阪〜別府の航路が開通し、1912(明治45)年には大阪商船(現:商船三井)の初代「紅丸」運行がスタートしました。この客船を接岸できる桟橋を作ったのが、別府観光の父・油屋熊八です。
桟橋が完成すると、日本全国からの観光客も増加。発着場から内陸方面へと続く流川通りが栄え、多くの飲食店やお土産屋、商店などが軒を連ねました。さらに熊八は、自動車の普及を見越し、九州横断道路(やまなみハイウェイ)を発案。それまで手のつけられない厄介な土地だった「地獄」を観光名所として整備して地獄めぐりを作り、日本初の女性バスガイドを起用したのです。
1984(昭和59)年、初めて別府港に「さんふらわあ」が就航、そして現在2023(令和5)年、別府に「さんふらわあ くれない」が就航、新ターミナルが誕生しました。
さてさて、母娘旅の続きをご紹介しましょう。
早朝、別府に到着。
ここからは母娘2人の上質な時間を楽しむ
別府たびのスタートです。
新鮮野菜で体が喜ぶモーニング
[荘園小町]別府を思いっきり満喫するために、まずはしっかり朝ごはん。車をレンタルしてやってきたのは「荘園小町」です。朝7時から営業しているカフェでモーニングをいただきます。
地元野菜を中心に、新鮮な食材をふんだんに使ったモーニングがいただけるお店。手作りにこだわった食事をいただけると、地元の人たちから支持を集めています。ケーキなどのスイーツも人気で、食後に注文する人も多いそうです。
大きな窓にシンプルでスッキリとした内装。外からの光がふんだんに入り、明るく心地よい店内で、ゆったりとした時間をすごせます。
海と街を見渡す
大パノラマ「明礬」でお散歩
[明礬エリア]
お腹が満たされたところで、少し足をのばして明礬へ。硫黄の香りが立ち込め、昔ながらの湯の花小屋が建ち並びます。
別府の中でも標高の高い明礬エリアは、古くから湯治客が訪れる場所です。別府湾と別府の街を一望できるダイナミックな景色を眺めながら、深呼吸。温泉パワーを取り込みます。
施設情報を見る竹細工の魅力に浸る
[竹細工伝統産業会館]別府といえば竹細工。日本各地から訪れた湯治客が、滞在中にカゴやザルなどの竹細工を使用。それをお土産として持ち帰り、全国に広まったといわれています。また、大分県はマダケの生産量日本一でもあるんです。
「竹細工伝統産業会館」では、原材料である竹の紹介から竹細工の歴史、竹の編み方が学べるほか、日用品から美術工芸品まで様々な竹工芸品を観賞できます。細い竹ひごを幾重にも編み上げた作品、両手でも収まりきらない大きな作品、見たこともない竹の使い方でダイナミックな作品など、同じ竹でこんなにも違うものがあるのかと驚かされるでしょう。竹鈴や花籠などを実際に作って持ち帰れる体験も行っています。(要予約)
となりにあるショップ&カフェでも日常使いできる竹製品を販売しています。
アートに包まれ心をほどく、
くつろぎの時間
[柳屋]
海を背に別府の坂道をのぼっていくと、ゆけむりに包まれる鉄輪エリアに到着。別府屈指の温泉街には個性的なお店や昔ながらの湯治宿も多く残っています。
そんな中、スタイリッシュで目を引くお宿「柳屋」。造形作家・望月通陽氏のデザインののれんをくぐり中へ入ると、心やすらぐ空間が広がります。さり気なく目に入るアート作品、時を経て美しく艶を出す柱、優しい灯り。空間を作り出す一つひとつが洗練されており、しっとりと心落ち着くお宿です。ベッドに置かれたオリジナル浴衣に袖を通せば、心もゆるゆるとほどけてリラックスできます。
100%かけ流しの温泉にゆっくり浸かれば、日常のいろいろなことが、きれいさっぱり流れてゆくよう。体の芯から温まったら、深い眠りへーー。
翌日は地獄蒸しからスタートです。温泉熱を利用して蒸しあげる地獄蒸しは、別府名物。食材を窯にいれるだけで、ヘルシーな朝ごはんが完成します。野菜の甘味がぐっと増し、食材本来の旨さが凝縮されるような味わいです。地獄蒸しと一緒に、飲泉にも挑戦してみましょう。
食事の後は、宿周辺をお散歩。道の真ん中から、側溝から、すぐそこにある煙突みたいなものから、至るところに湯けむりがのぼる「別府ならでは」の風景を堪能できます。
明治建築でアートに触れる
[富士屋ギャラリー]チェックアウトの後は、宿から程近い「富士屋ギャラリー」でティータイム。以前旅館を営んでいた建物は、明治時代の建築です。
店内はアンティーク調の家具や調度品が並び、美しい絵画の中に自分も入ったような感覚。ゆらゆらと揺らいで見える窓越しに庭の緑が映り、静かな時間が流れています。本棚にはアートや温泉、別府関連の書籍や雑誌が多数。
敷地内にあるショップには、陶器や竹細工、手作りジャムなどが並んでいます。作り手の思いが伝わるような、ストーリーあふれる商品の中から、お気に入りを見つけ出してください。
一期一会の特別なお土産を求めて
[SPICA]店主や仲間が実際に使ってみてよかったものや、繋がりのある作家さんたちの作品を中心に販売するセレクトショップ「SPICA」。
陶器やカトラリーなどの雑貨、お菓子、洋服、アクセサリーなど、他ではない品揃えで人気を集めるお店です。
店内奥はギャラリーになっており、作家たちの展示会を開いています。その瞬間にしか出合えない、ぎゅっと心を掴まれるようなものとの遭遇があるかもしれません。
別府のお土産として人気があるのは、別府竹細工のスプーンや湯の花を使った入浴剤、イラストレーターと老舗茶屋がコラボしたお茶、ゆけむりをイメージしたクッキーなど。ちょっとかわいい、少し珍しい、渡した相手が笑顔になりそう……そんなものがいっぱいです。
旅の思い出に、母娘おそろいのお土産を購入するのも記念になりそう。
空の上から別府を一望
[グローバルタワー]別府旅のしめくくりは、地上100mから別府を眺める「グローバルタワー」へ。チケットを支払いエレベーターに乗り込むこと数分。扉が開くと、そこは上空。視界が一気に広がり景色が飛び込んで来るとともに、強い風が吹き付けます。
最上階は四方がガラス張り・天井はロープのみ。まるで空に浮いたガラス箱のような展望台から、別府の街と別府湾、鶴見岳などの山々を観賞しましょう。これから乗り込む「さんふらわあ」の姿も発見。
「日本夜景遺産」にも登録された絶景を拝んだ後は、旅の発着点である別府観光港へ。ここからまた、船に揺られ大阪へと戻る帰りの旅が始まります。
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